自分の体に痛いところがあると、そこに自然に手が行きます。肩が痛い時、反対の手で肩を触ってはいませんか? 歯が痛い時、頬をやさしく手で包んでいませんか? 子供が咳き込んだら背中をやさしくさすってあげていませんか?
これは人間の本能的とも言える行動です。一見気休めのような、この手を当てる行為は、病む人にとってはその苦痛を癒し、精神的な支えとなっているのが事実です。
東洋医学の指圧、あん摩、マッサージの手技も、そのためのものとして古来より先人たちが様々な苦痛に対して行ってきた方法です。
東洋医学の優れた点は、心と身体を分離せず、一体のものと認識することです。生命のエネルギーを「気」と呼び、この「気」を滞りなくめぐらせれば心身の健康が維持できると考えます。
気のめぐるルートを経絡(けいらく)といい、経絡の中で治療するのに効果的な局所を経穴(けいけつ)といいます。いわゆるツボです。もっと解りやすく説明すると…
(例として) 身体を日本地図に見立てます。経絡は四方八方にのびる新幹線、ツボが停車駅になります。東京→福岡(経絡)、途中の大阪駅(ツボ)で何らかの原因で止まってしまうと、その先にたどり着けません。なんとしても大阪駅(ツボ)を出発させるよう治すという感じです。
という言葉、聞いたことがありませんか。先ほど述べた新幹線(経絡)の名前が五臓(肝、心、脾、肺、腎、心包)、六腑(胆、小、胃、大、膀、三焦)の12本になります。その12本それぞれに駅(ツボ)があるのです。
(例) 「足の三里」というツボは、胃の経絡上にあり、胃が少し痛い時は足の三里を押すと、痛みが軽くなります。
ここから先は陰陽五行説と続くのですが…。まずは経絡、経穴(ツボ)がなんとなくお解りいただけましたでしょうか。
■按摩
中国をルーツとする手技療法(古来より)。「按」は「おす」、「摩」は「なでる」。マッサージの手技とは異なります。
■指圧
日本で大正時代頃用いられる。主に指頭の垂直圧をツボに用いる手技。「指圧の心は母ごころ…」
■マッサージ(Massage)
マッサージという言葉は
フランス語。この語源もまたアラビア語の「おす」、ギリシャ語の「こねる」、ラテン語の「手」と同一語源とされています。西洋に起源を持つ手技療法。 |